ミキサー食は、嚥下(えんげ)障害や咀嚼力低下のある方が安全に食事を摂れるよう、食材を細かく撹拌した介護食です。賞味期限や保存方法を正しく守ることで、栄養価を保ちつつ衛生的に長く利用できます。本記事では、ミキサー食の基本情報から具体的な保存期間、腐敗サインの見分け方までを管理栄養士が解説します。
ミキサー食の基本情報
ミキサー食は、野菜・果物・肉・魚などの食材を加熱・加圧したうえでブレンドし、滑らかなピューレ状にした加工品です。介護食として市販されており、1食あたり約100gで約68kcal(100gあたり)とエネルギーが抑えられています。食物繊維やビタミン・ミネラルは原料に応じて一定程度残りますが、加熱に伴う一部の栄養素は減少します。
賞味期限・消費期限の違いと目安
ミキサー食は常温保存ができるレトルトタイプと、冷蔵・冷凍専用のタイプに大別されます。
・賞味期限は、未開封・未使用の状態で品質が保たれる目安です。製造日から約90日(3か月)と表示されている商品が多いです。
・消費期限は、開封後や保存条件が変わった場合に適用され、衛生面での安全性が保証される期間です。開封後はなるべく早く、目安として7日以内に使用することが推奨されます。
保存方法の詳細
- 常温保存:未開封のレトルト容器は、直射日光や高温(30℃以上)を避け、湿度の低い涼しい場所で保存します。開封後は必ず冷蔵へ移し、2時間以内に使用してください。
- 冷蔵保存:開封後は密閉容器に移し替え、4℃前後の冷蔵庫で保存します。目安は30日以内ですが、風味や食感の低下が始まることがあるため、できるだけ1〜2週間以内に消費するのが安全です。
- 冷凍保存:冷凍可能な商品は、開封前でも冷凍庫(-18℃以下)で保存できます。解凍は冷蔵庫内で自然解凍し、再冷凍は避けてください。保存期間は約12週間(3か月)です。
保存容器や包装のおすすめ
開封後は、プラスチック製の密閉容器やジップロックバッグに小分けして保存すると、空気接触を最小限に抑えられます。容器は必ず清潔に洗浄し、乾燥させてから使用してください。レトルト缶は開封後にアルミホイルでしっかり覆うか、専用の保存カバーを使用すると衛生的です。
季節別の注意点
- 夏季(30℃以上):常温保存は避け、必ず冷蔵または冷凍で管理してください。特に開封後は2時間以内に冷蔵へ移すことが重要です。
- 冬季(0℃付近):冷蔵庫の温度が低すぎると凍結しやすくなるため、設定温度は4℃前後に保ちましょう。
- 梅雨・雨季:湿度が高くなると包装が劣化しやすいため、包装の破損がないか定期的にチェックしてください。
まとめ
ミキサー食は介護食として安全に利用できる便利な食品ですが、保存環境によって品質が大きく変わります。未開封は賞味期限(約90日)を目安に、開封後は冷蔵で30日以内、冷凍で12週間以内に使用するのが安全です。保存容器は密閉できるものを選び、季節ごとの温度管理に注意すれば、栄養価と風味を長く保つことができます。